レトロを超越！この空間にどう手を加える？

お問合わせをいただいた時点で「はたしてこれはどうしたものか？」とまず思ってしまいました。
確かに古民家、でもそのバックボーンはちょっと恐れ多い。打合せの際も「いいんですか？手を付けて」と確認したほど。
まぁ建物なんて出来てしまえば持ち主のもの。どう使おうが自由です。
というわけで好きにやらせてもらおう！とはいかず、可能な限り雰囲気をいじらない方向でなんとかしてほしい、とのこと。ムムムッ！

計画は思いのほか順調に進みましたが、素材選びが難航。何せ古いおうち。そこに真新しい建材は似合わないし格好悪いのは目に見えています。
とそこで、現家主様の御屋敷（吉祥寺）に立つ旧家屋の取り壊しが決まったと連絡を受け、いただけるものはお店に使おうという運びに。早速赴いたのですが、こちらの旧御屋敷もなんせご立派。純和風建築なのでいたるところの細工が見事。と感動冷めやらぬまま目ぼしいものを確認。
引き取りに行ったときは残念ながら古物商が入った後だったので目を付けていた建具や小物は見事に跡形もなくなっていました。なんとか使えそうな材料として、12尺もある檜の床板と台所から杉の厚板、建具を少々拝借することに。

目には目を

旧御屋敷から引き揚げた資材は増設したカウンターに転用です。
天板は檜の床材を張り、腰壁には厚板を使ってみました。材料ギリギリでヒヤヒヤ。。。
出来上がりは見事雰囲気に溶け込み、違和感を感じさせない存在に。照明にも一工夫。既製の新品ではまた雰囲気が合わない。どうしたものか考えた末、ひたすらシンプルにしようと鉄管を曲げてボール球を仕込んだだけのいわゆる裸電球に。
なんやかんやと無事に工事は終わってくれましたが、いろんな意味で貴重な体験をさせてもらいました。
天高4ｍ、時代背景を考えればものすごくモダンな造りです。画像の奥に見える赤い造作は日本で最初のシステムキッチンらしいですよ。
場所は職安通りのレンタカー屋の裏、路地を入ったところなので非常に分かりづらいですが、見つけられることを祈ります。
※現調の際に撮った改装前の写真はある意味貴重なものかもしれません。個人宅だったので見たくても見れなかったでしょうしね。

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